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フリン前大統領補佐官が罪を認めたことの意味とは

投稿日:2017年12月2日

マイケル・フリン前大統領補佐官が偽証の罪を認めた。米ABCニュースをはじめとする主要マスコミは、「ロシア疑惑」の捜査が進展するかのような論調で報道しているが、果たしてそうだろうか。

フリン氏はこれまで、ロバート・モラー特別顧問(特別検察官とも訳される)が捜査を指揮するロシア疑惑への協力を拒んできた。今回の件で、フリン氏はこれまでの態度を180度変え、捜査への協力を約束した。そういう意味では確かに大きな進展かもしれない。

ABCニュースの報道では、フリン氏がここ数週間で、トランプ大統領の態度に痺れを切らしていたことを、フリン氏に近い人物の話として伝えている。また、ロシア当局者とのコンタクトを指示したのは、ジャレッド・クシュナー氏であったという。つまり、トランプ氏も関わった可能性も否定できなくなってきた。

しかし、トランプ氏がロシアと共謀したとされる疑惑について、そして何よりも、その違法性について何かが証明されたわけではない。フリン氏が認めた罪自体は、実はロシアとの共謀の立証とは直接関係のないものだ。

ポール・マナフォート氏の起訴の際にも、ナショナル・レビューのアンドリュー・C・マッカーシー氏によるオピニオンを当サイトで紹介したが、今回も同氏の見解を元に紹介したい。

まず、フリン氏が認めた罪は、FBIの捜査員にロシア大使との面談内容などについて虚偽の供述を行ったというものだ。これは最高5年の懲役となる犯罪だという。面談内容には、ロシアへの米国の制裁に関するものが含まれていた。

しかし、「(当時の)次期国家安全保障担当補佐官が外国の当局者と面談し、その中で制裁のような問題を討議することには、何の問題もない」とマッカーシー氏は述べている。

更に、FBIがFISA(米国で外国人に対する諜報活動を認める法律)によってフリン氏の会話内容を傍受し、会話の内容を把握しているはずなのにそれを聴取したことの矛盾点を指摘している。つまり当局が「はめた」ということだ。これについては、フリン氏がオバマ政権に対して激しい批判をしていた人物であったことから、当時のオバマ政権当局に目を付けられていたのだと、マッカーシー氏はほのめかしている。

トランプの選挙陣営スタッフであったジョージ・パパドプロス氏が、1カ月ほど前、同じようにFBIに対する偽証を認めたが、今回もそれと似ている。

マッカーシー氏は、「それ(フリンのやったこと)がロシアの選挙干渉から生じる『陰謀』の嫌疑の根拠となるようなことであったなら、フリンはプロセスクライム(本来問題になっている罪ではなく、偽証や司法妨害などの別件の罪)の罪を認めるのではなく、スパイ活動の陰謀の罪に問われていただろう」と主張している。

最後にマッカーシー氏の見解の結論部分を引用する。

理解すべきこと:フリン氏がロシア大使と面談した内容が、代償的な共謀協定(トランプ政権が、ヒラリー陣営と民主党に対するロシアのサイバー工作の見返りとして、ロシアへの制裁を緩和または解除したこと)の存在を立証していたのであれば、オバマ政権の司法省がフリン氏を捜査したのは、急務としても、適切だっただろう。しかし、仮にそうであったならば、モラー氏は、FBI捜査員に対する偽証という1つの訴因だけで、フリン氏が和解することを認めることはなかっただろう。それどころか、重大な陰謀に対する起訴を目にすることになるだろうし、フリン氏が、取引、つまり情状酌量と引き換えに協力することを求めたのであれば、はるかに重大な犯罪に対して罪を認めさせられていただろう。

それとは反対に、いくら大騒ぎしても、フリン氏の件は取るに足らない罪であり、それは、広範な「共謀」の証拠にもかかわらず、パパドプロス氏の起訴のときと全く同じことだ。一方、モラー氏がトランプ陣営のポール・マナフォート元選対本部長とその側近に対してもたらした唯一の重大な起訴は、2016年の選挙とは何のかかわりもない。「共謀」がどういう意味であるにせよ、トランプ陣営が、ロシア政府の策謀において起訴可能な陰謀による共謀を行っていない、ということがますます明白になっている。

いずれにしても、フリン氏の証言が注目されることは間違いなさそうだ。

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