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異例の「政府に対する詐取の共謀」罪の適用でモラーにはめられていくターゲットたち

投稿日:2018年3月13日

<引用元:ワシントン・タイムズ 2018.3.12

ロバート・モラー特別顧問と検察チームは、ロシアのサイバー・ネットワークを陥れるために異例の「政府に対する詐取の共謀」の罪を適用した。共謀が犯罪行為に関係していなくても、トランプ大統領とその関係者を追及するのに同じ法的戦術が利用される可能性がある。大統領は何度も不正行為を否定しているが、モラー氏の10カ月に及ぶ捜査はトランプ・ロシア選挙干渉物語の中心となっており、新聞の見出しを飾ってきた。4人の関係者 — さらに増えるかもしれないが — が起訴される中、ホワイトハウスは摩擦と議論に巻き込まれている。

先月、共和党でFBI元長官のモラー氏は、ロシアの「トロール工場」であるインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)につながりのある13人のロシア人を起訴した。IRAが米国のソーシャルメディアを使って、2016年米国大統領選挙に干渉したというのが起訴理由だ。先月、トランプの元選挙陣営マネージャーのポール・マナフォート氏のパートナーであるリック・ゲイツ氏が司法取引に応じたが、これにも同じアプローチが取られた。

法曹界で注目を集めたのは、基本的には、ロシア人が米国政府機関の職務遂行を妨げることで罪を犯したという起訴内容の基礎となった法理論のことだ。Lawfare InstituteとBrookings Institutionが発行する国家安全保障に関するブログ、Lawfareに最近掲載された記事によると、モラー氏はその理論を活用して「国外と国内両方の当事者に対する強力な手段」にしたようだ。

Harvard International Law Journalの編集長であるエマ・コース氏(Emma Kohse)とBrookings Institution の上級フェローでLawfareブログの編集責任者であるベンジャミン・ウィッツ氏(Benjamin Wittes)が、起訴状の内容とその背景にある判例に基いて主張しているのは、モラー氏のチームは「政府に対する詐取の共謀」罪によって、トランプ氏とその2016年選挙陣営メンバーに対して立件する上での大幅な柔軟性を確保しているということだ。

モラー氏の検察チームは、ロシア人被告が米国政府機関を妨害することを共謀したと起訴状で訴えている。それには様々な方法があり、不適切な選挙運動費用支出、政治活動を行う外国の団体としての登録がなかったこと、また偽ってビザを取得したことが含まれている。突き詰めれば、政府機関の中でも連邦選挙委員会と国務省の職務を妨げたということだ。

さらに被告の中には、トロール工場の影響力工作を支援するために「情報収集する目的で、偽りの口実を設けて米国に入国した」者もいた。

モラーチームのゲイツ氏に対する立件でも、少なくともその一部では同じ法理論が根拠となっているようだ。ゲイツ氏は金融詐欺と捜査官に対する虚偽の供述を認めて司法取引に応じたが、2月の報告では、モラー氏は同氏が「政府機関、つまり司法省と財務省の正当な政府機能を妨げ、損ない、遮り、無効化する」ことによって、政府を騙したとしていた。

ブログ著者は、「米国に対する詐取の共謀」罪は新しいものではないが、トランプ氏やその関係者が2016年の選挙結果を変えるために積極的にロシア人と共謀したことを完全に証明しようとすることとは、全く異なる法廷闘争を提起するものだと指摘している。

「詐取の共謀」というアプローチについて、Lawfareの著者たちは次のように指摘している。「(それは)1948年(実質的には同様の内容の初期の規定は1867年に遡る)以来、一般的な共謀法令の中で目に付くところに位置付けられてきた。法令では2人以上の人物が『米国に対する犯罪を共謀することも、米国やその機関を騙すことを共謀することも、それがいかなる方法で、またいかなる目的のためであっても違法だとされている』」

さらにその著者たちは、「犯罪の共謀とは異なり、米国からの詐取を共謀することは特定の潜在的な犯罪とつながりがある必要はなく」、「詐取」は法律で定義されていないと述べている。

モラー氏のIRA起訴には、特に米国の選挙管理法を背景とする法令が使用されており、それが用いられることは一般的ではないが、連邦巡回区控訴裁判所にはその理論に基づいた審理を行い、連邦選挙管理法に関する申請を認めたところもある。

コース氏とウィッツ氏は次のように書いている。「2016年の選挙に干渉しようとするロシアの持続的な、多方面の取り組み — 起訴状に垣間見られるもの — は、これまでに米国に対する詐取の共謀として訴えられてきたものよりも、疑いようもなく複雑で広範にわたるものだ。しかし、それはモラー氏の理論をより斬新なものにするのではなく、より充実したものにしている」

モラー氏は連邦選挙委員会、司法省、国務省に対する詐取の共謀を主張しているため、法学者の中には、トランプ陣営とロシア政府との間の「共謀」に関する最近の解説は間違っていると言う意見もある。

また著者たちは、ロシアのトロール工場による米国政府機関に対する共謀に協力した米国市民を追及するのは、法的にはそれほど難しい問題ではないと指摘している。

コース氏とウィッツ氏は次のように述べている。「そのような共謀に新たな共謀者が加わっていたと主張するには、モラー氏はただ、その様な人物 — おそらく新たな被告人となる — が、連邦選挙委員会、司法省、また国務省が行政権限を奪われることにつながる詐欺の計略に参加することに同意していた、と申し立てるだけで良いだろう」

そのような法的論理に従えば、トロール工場のIRAを(情報を提供したりその情報の使用方法を指示したりすることで)それと知りながら支援した米国人はすべて、「米国政府の背後で米国の選挙に影響を与える」計略に参加していたということになる。従ってそのような人たちは有罪となるのだ。たとえ自分たちがやっていたことが合法的なことだと思っていたとしても。

また、米国の情報機関の消息筋もワシントン・タイムズに何度も伝えていたが、そのような人たちはほとんどの場合、自分たちがロシアの2016年大統領選挙干渉計画を支援していたとは知らなかっただろう。

ある消息筋は次のように話していた。「モラーは自分たちが誰のために働いているかさえ気づかずに、ロシアの布教者として活動していた『役に立つ馬鹿』をターゲットにしている」

更新:タイトルを含めて「政府を騙す共謀」という訳文を「政府に対する詐取の共謀」、また同様に「騙す」という表現も「詐取」に訂正(2018/3/18)。

以下、原文

 


Robert Mueller invokes ‘conspiracy to defraud government’ charge in Russia probe

Special counsel Robert Mueller and his prosecutors have invoked an unusual “conspiracy to defraud the government” charge to ensnare a Russian cyber network and could use the same legal strategy to go after President Trump and his associates, even if the conspiracy is not linked to a criminal act. Although the president constantly denies any wrongdoing,…



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